「前はすぐに宿題やっていたのに!」できていたことが、できなくなるには理由がある

【記事概要】

発達凸凹キッズは様々なことが理由で、これまでできていたことが、できなくなることがあります。「できなくなる」ことが増えるのは、多くの場合はストレスによるものです。お子さんのSOSを見逃さないお母さんの対応についてお届けします。

 

1.できていたことが、できなくなる発達凸凹キッズにお困りのお母さんへ

 

・一人で学校に行っていたのに、親と一緒じゃないとムリになった。
・身の回りのことは自分で出来ていたのに、最近はぐちゃぐちゃ。
・物怖じせず発言していたのに、引っ込み思案になった。
・声かけで宿題に取り組めていたのに、最近は宿題に取り組もうとしない。

そんな発達凸凹キッズの様子をみて、イライラしてしまい「どうして?!」「早くしなさい!」などとガミガミ声をかけ続けているお母さんも、いらっしゃると思います。

いくら「どうして?!」「早くしなさい!」とガミガミと言い続けても効果はありませんよね。

以前は取り組めていた事に取り組めなかったりすると、前はできていたのだから、できるはず!と思って「怠けている」「努力が足りない」と大人は考えがちです。

ですが発達凸凹キッズが、前はできていたことが、できなくなる場合は、SOSのサインかもしれません。

ストレスなどが関係していないか、観察して探ってみる必要があるのです。

発達凸凹キッズが、再び苦手なことや宿題に取り組むことができるようになるためのお母さんの対応についてお届けします。
 

 

2.できていたことが、できなくなる原因

 

わが家には、ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の特性を併せ持った、発達グレーゾーンの中学2年生の息子がいます。

小学校の頃は、帰宅後すぐに宿題に取り組んでいたのに中学生になってからは取り組まなくなってしまいました。

 「どうしてやらないの?」「これくらいできるでしょ。」「これくらいは当たり前だよね。」と、イライラして息子を言葉で攻め続けていました。

私は息子の困りごとにフォーカスして解決しようとするのではなく、自分の価値基準を息子に押し付けてしまっていました。

小学校と中学校では時間の使い方、生活パターンが急激に変化します。

今まで出来ていたことも、その子を取り巻く環境の変化やストレスの影響によって、負担が増えてしまい、出来ていたことに取り組めなくなる場合があるのです。
 

3.心が安定すれば再びチェレンジできる

 

環境の変化によるストレスが強すぎて、取り組めないときは思いっきり、何もせずにゆっくりと過ごすことも大切です。

まずは、負担感を減らしてあげる事です。

お子さんが何に一番負担を感じているのか、本人も気が付いていない場合もあります。

お子さんの気持ちに寄り添い、カウンセラーモードでお子さんの本心を聞き出して、一つ一つ紐解いてあげることが大切です。

カウンセラーモードは、保留・受容・理解・共感の4つのステップをメインにしたお子さんとの関わり方です。

まず1つ目のステップ保留は、大人の価値観や正しい意見は一旦保留して、心の余裕を持って子どもの様子をよく伺います。白も黒も付けません。

2つ目のステップ受容は、ありのままのお子さんを受け入れます。子どもの感情に巻き込まれないことが大事です。怒っていれば怒らせてあげます。イライラしている状況なら、気が済むまでイライラさせてあげます。

3つ目のステップ理解は、子どもが何を考えているのかより、何を感じているのかに焦点を当てます。何を分かって欲しいのか、今の子供の感情を確かめたり代弁したりして、子どもを理解し尊重します。

4つ目のステップ共感では、子どものありのままの感じ方(認知)を受け止め理解を示します。

カウンセラーモードを繰り返し対応することで、心が安定してくると、再びやる気が湧いてきます。

家でゆっくりと自由に過ごすと、内側に向かっていた気持ちが外側に向き始めます。

そのうちに「暇だなぁ~」「なんか面白いことないかなぁ~」といった外側に気持ちが向いている発言が出てくるようになります。

このような発言が出てくると心が安定してきたという1つのサインです。

心が安定し落ち着いてきた場合に、「これくらいならできる!」と思えることから取り組ませてあげます。

例えば、
・好きな科目の宿題が終わればOK
・最後まで終わらなくても取り組めたらOK

というように、ハードルを下げて達成感を得やすくしてあげましょう。

そして、取り組もうと行動し始めたら、すかさず肯定して褒めてあげます。小さな成功体験をたくさん積み上げていくことで、お子さんは自信を取り戻し、再び苦手なことや宿題にも取り組むようになるのです。

できなくなったわけではありません。できる能力はあるのです。だけど、できない。

「そうせざるを得なくなった理由」に寄り添ってあげることが大切なのです。

 

 

 

子育てに悩まれているお母さんの心の支えになれれば幸いです。

執筆者:中木村 美紀
(発達科学コミュニケーショントレーナー)