【記事概要】
「友達とうまくいかない」発達障害のあるお子さんに頭を悩ませているお母さん。相手の感情を読み取るためのトレーニングを取り入れてみませんか?子どもが楽しく遊びながら「感情」と「表情」を読み取る力が鍛えられるカードゲームをご紹介します。
1.友達とトラブルが頻発してしまう原因
発達障害・グレーゾーンの子どもを育てていると、お友達とトラブルを起こして、お母さんは対応に追われることも多いですよね。
わが家には、ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の特性を併せ持った、発達グレーゾーンの中学2年生の息子がいます。
小学生のころは、友達と意見が合わないとき、自分の意見ばかりを主張して周りの子としょっちゅう衝突していました。
その事がキッカケで、仲間外れにされたり、にらまれたり、悪口を言われたり、友達とのトラブルや悩み事が絶えませんでした。
息子には、「ゆずれないこだわり」があると、妥協することが難しく、相手の表情やしぐさを読み取り行動するのも苦手なため、相手の気持ちに気が付かず、自分の意見を押し通そうとしてしまっていたのです。
トラブルといっても、多くの場合、最初は小さなものです。
ですが、友達づくりが苦手なままでは対人関係スキルが育ちにくく、年齢を重ねるにつれて、他の子どもとの差が広がっていきます。
友達との会話がかみ合わなかったり、みんなで遊んでいる時にもめごとが起こったり。
そんなすれ違いが、徐々に深刻なトラブルへと変わっていくのです。
2.「友達とうまくいかない」発達障害のある子の特性
発達障害の子が友達づくりで苦労する原因には、発達の特性が関係しています。
ASD(自閉スペクトラム症)の場合は、こだわりをもつことが多く、まわりの子にあわせて言動を調整することが苦手です。
自分の趣味や得意分野、専門知識などへのこだわりが強く、好きなことばかりしゃべりがちで、会話にならないことがあります。
このようなことを繰り返していると、まわりの友達に話しにくい子と認識されてしまい、友達付き合いが難しくなります。
ADHD(注意欠如・多動症)の場合は、活発なタイプが多く、友達付き合いは比較的広がりやすいのですが、友達といっしょに遊んでいるときに、突然いなくなる、友達との約束を忘れて相手を怒らせてしまうなど、すれ違いやケンカが起こることがあります。
それが、大きな問題に発展して、孤立してしまうのです。
発達障害の子は、他の子の気持ちを読み取るのが苦手です。
相手の怒りや不快感だけでも読み取ることができれば、良好な友達関係に役立ちます。
では、人の表情や態度の見分け方をどのように練習すればよいのでしょうか。
発達障害の子には分かりにくい、相手の感情を読み取るためのトレーニング法を次項でお伝えします。
3.楽しく遊びながら「感情」と「表情」を読み取る力を鍛える!おススメのカードゲーム
相手の感情を読み取るためのトレーニングとして、わが家で活用しているのがカードゲームの『はぁって言うゲーム』です。
言葉は、短い言葉でもいろいろな感情を表現することができますよね。
「はぁ?」「はあ!」「はぁ…」「はあ~」
同じ言葉でも伝えたい内容が全く違います!
はぁって言うゲームは、「はぁ」などの与えられたお題を「声」と「表情」だけで表現して当て合うカードゲームです。
お題カードには、8種類のお題が書かれています。
A:なんで?の「はぁ」
B:力をためる「はぁ」
C:ぼうぜんの「はぁ」
D:感心の「はぁ」
E:怒りの「はぁ」
F:とぼけの「はぁ」
G:おどろきの「はぁ」
H:失恋の「はぁ」
お題を「声」と「表情」だけで表現したら、8つのお題のうちどれを表現したのかを他のプレイヤーに当ててもらい、多くの人に当ててもらったら「正解した人数×1点」を獲得できます。
また、他のプレイヤーが、どのお題を表現したのかを当てると「1点」獲得できます。
最も多くの得点を獲得した人の勝利です。
自分の表現力と相手の表現を「声」と「表情」だけで見極める観察力が試されるゲームなので、どんな風に表現すれば相手に伝わるのか「表現力」を鍛えることができます。
また、相手の「表情を読むコツ」を繰り返し楽しみながら練習することができ、さまざまな状況における「感情」と「表情」を読み取る練習にもなります。
わが家では、家族でこのカードゲームを楽しんでいます。
中には、すごく微妙な違いのお題もあり、勘違いされないように「声」と「表情」だけで、どう表現して伝えたらいいのか、とても難しいものもあります。
恥ずかしがって、ちゃんと表現できなかったりすると「え~!ちゃんとやってよぉ~!」の声が響き
女優になった気分で表現すると、子ども達は大笑い!爆笑の渦です!
最初は、何を表現しているのか当てられなかった子ども達も、よく観察して当てることができるようになってきました。
そして、回数を重ねるごとに表現力もUP!
息子も「こんな表情なら、分かってもらえるかな?」「こんな声だと分かりやすいかな?」と工夫するようになりました。
楽しみながら、いつの間にか「感情」と「表情」を読み取る力が鍛えられるカードゲーム。
みなさんも、家族が興味を持ちそうなカードゲームを探して、感情のトレーニングを家族で実践してみてください!
子育てに悩まれているお母さんの心の支えになれれば幸いです。
執筆者:中木村 美紀
(発達科学コミュニケーショントレーナー)