【記事概要】
発達障害グレーゾーン男子の突然の登校しぶりに戸惑って、不安を感じているママは多いと思います。「どうして学校に行きたくないの?」「休み癖がついたらどうしよう」そんなママのお悩みを解決する対応策をお伝えします。
1.「学校行きたくない」は子どもからのSOS
朝から「学校がつらい。」と言って涙を流した息子。
息子は、中学2年生で発達障害グレーゾーンの特性であるADHD(注意欠陥・多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム)の特性を併せ持っています。
「学校には行かないといけないって分かっている。でも行きたくない。」と涙を流し、自分自身と戦っていました。
中学1年生の3学期になってから、「学校に行きたくない」と言うようになり、登校しぶりが始まりました。
当時の私は「学校は休まず行くべき」という考えだったので、息子の話など聞き入れようともせず「がんばって行きなさい!」という声をかけ続けて、無理をさせ続けていました。
中学2年生となり、気の合う友だちもできた様子で、以前のような登校しぶりもなくなったと安心していました。
ところが、とつぜんの涙ながらの息子の訴えにおどろいて、私は急に不安でいっぱいになりました。
これまでにも、登校しぶりはあったものの、涙を流しながら訴えることはなかったからです。
とりあえず「何が一番つらいかな?」と学校に行きたくない理由を息子に聴いてみました。
具体的な理由は言わず、ただ「学校の全部が嫌だ!」「勉強も、部活も、先生も、とにかく全部嫌だ!」と答えました。
ちょうどその頃、発達科学コミュニケーション(発コミュ)で、子どもの発達の特性を学び始めていた私は、息子の普段とは違うようすから、今は無理をさせるべきではないと判断しました。
そして「学校がつらいんだね。今日はお休みしたらどう?」と息子に提案してみました。
すると「でも、中学1年生の時にママから『何もかも中途半端だ!』って言われたから。休まずに学校に行かないと、またママから中途半端って言われちゃう。」と衝撃の一言が返ってきました。
発コミュを始める前、朝の忙しい時間帯に登校しぶりをする息子を前に、ついイライラして怒りに任せて放ってしまった言葉を、ずっと傷として抱えていたのだと知りました。
私が「とつぜん」と感じた息子の涙ながらの訴えは、息子にとっては「とつぜん」なんかではなく、ずっと我慢してがんばっていた思いが抱えきれなくなってしまったというSOSだったのです。
2.発達障害グレーゾーン男子の登校しぶりの原因
発達障害グレーゾーンのADHDやASDタイプには様々な特性があります。
ADHDは、主に下記の3つの特徴があります。
・注意欠如(不注意)
・多動性
・衝動性
注意欠如の特徴は、「授業中、注意を持続することができない」「忘れ物が多い」「片づけが苦手」などです。
多動・衝動性の特徴としては、「授業中、席を離れて歩き回る」「順番を待つことができない」「しゃべりすぎる」などがあります。
ASDは、主に下記の特徴があります。
・コミュニケーションの障害
・行動や興味のこだわり(想像力の障害)
・ネガティブな記憶が残りやすい
・感覚過敏である
息子は注意欠如の特徴が、より多くみられ、ネガティブな記憶が残りやすいタイプです。
学校生活の中では、これらのような発達の特性が影響して、よく先生に注意される、勉強についていけない、忘れ物をする、人よりも疲れやすい、等つらい思いや失敗を繰り返したりすることで、自分に自信を持てずにいます。
学校生活での辛いネガティブな記憶が残り「また怒られたらどうしよう」「失敗したらどうしよう」という不安な気持ちが、登校しぶりの原因につながっています。
では、子どもが「学校に行きたくない」と言った場合、どう対応すればよいのでしょうか。
私が発コミュを学んで取り組んだ方法をご紹介します。
3.安心できる居場所でゆっくり休めば自分から動き出す対応策
お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、無理に登校はさせません。
親は「休み癖がつくかも」と心配しますが、休ませる勇気がとても大切です。
無理をさせても、根本的な解決にはなりません。
◆行きたくない気持ちを受け止める
お子さんが「学校に行きたくない」と言い出したら、まずは、お子さんのありのままの気持ちを受け止めます。
「そっかぁ、学校に行きたくないのかぁ。」
「学校に行くことがつらいんだね。」
と、ありのままの気持ちを受け止め、共感します。
大人の思いや正論を伝えたりはしません。
上手にお子さんの気持ちを引き出してあげることで、お子さん自身が不安やつらいネガティブな感情をいっぱい吐き出すと気持ちも落ち着いてきます。
わが家の息子は、ため込んでいた感情を吐き出すと「聴いてくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えてくれました。
◆ゆっくりと過ごして休ませる
学校に行きたくないのは、心も体も限界だというSOSです。
まずは、十分な休息を取ることを大切にしましょう。
お子さんにとっては、元気をためる大切な時間です。
わが家では、息子がダラダラと過ごしている事やネガティブな 事には触れず、
「ゆっくり休んで大丈夫だからね。」
「いっしょにリンゴ食べる?」
と笑顔で声かけし穏やかに対応しました。
お子さんに、ママは自分を受け入れてくれている!味方でいてくれる!という安心感を持たせることが大切です。
◆好きなことをして過ごす
お子さんが好きなことをして、楽しく過ごします。
好きな事に取り組んでいるとき脳はフル活動します。脳を活動させることで、気持ちが前向きになり、やる気が出てきます。
わが家の場合は、息子といっしょにカードゲームをします。
楽しいカードゲームをする中で、情報処理能力や記憶力を鍛える効果もあり、一石二鳥なのです。
エネルギーを回復させると、意欲的に動けるようになります。
あせらず、お子さんのペースで見守ってあげてくださいね。
子育てに悩まれているお母さんの心の支えになれれば幸いです。
執筆者:中木村 美紀
(発達科学コミュニケーショントレーナー)