【記事概要】
人それぞれ性格や考え方が違うように、学校の先生や塾がすすめる勉強方法がお子さんにあうとはかぎりません。学習障害のお子さん1人1人にあった勉強方法で、やる気をアップさせて、効率良く学習を進められるように、ぜひ参考にしてください。
目次
1.学習障害のお子さんの勉強での困りごと
学習障害(LD)のお子さんの勉強について、下記のようなお悩みを持っている方はいませんか?
・同じ間違いを繰り返してしまう
・塾や先生に教えてもらった方法で勉強しているのに成果がでない
・何度くり返しても覚えられない
こんな勉強面の困りごとに多くの方が悩まれています。
学習障害のお子さんに見られるこれらの悩みは、発達の特性によるものです。
学習障害は、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち特定の分野に苦手さを示す発達障害のひとつです。
学習障害に、知的発達の遅れはありません。
一口に学習障害と言ってもお子さんの困りごとは様々です。
ひらがなの読み書き、漢字の読み書き、文章の理解、計算など、苦手とすることは、お子さんによって異なります。
人はそれぞれ性格や考え方が違うように、お子さんにあった効果を発揮できる勉強方法はそれぞれ違うのです。
お子さんの得意・不得意を理解してお子さんに合った勉強方法で学習することが大切なのです。
2.合わない非効率な勉強方法を手放そう
わが家には、学習障害の特性を持った発達グレーゾーンの中学2年生の息子がいます。
学習障害の特性を持っている息子は、一般的な方法で読み書きを練習してもなかなか上達しません。
以前は、漢字の小テスト30問を全問正解になるまで、ひたすら繰り返し書いて練習していました。
全問正解になるまでに息子が漢字の練習に要する時間は6時間。
それでも小テストで100点は取れません。
どんなに練習しても、練習では100点でも、いざ本番になると、線が一本多くなってしまったり、「てへん」と「きへん」を間違えて書いてしまったりしてしまうのです。
ひたすら繰り返し書いて練習する方法では、効率も悪く努力に対して成果が出ないため、やる気がなくなってしまっていました。
そこで、ひたすら繰り返し書く勉強の他に息子に合う勉強法はないか調査してみる事にしました。
調査した内容について次項でお伝えしますね。
3.学習障害のお子さんの特性を「3つのタイプ」から見極めて勉強の効率をアップ!
人には物事の理解に至るまでに「学び方のクセ」があり、「視覚優位」「聴覚優位」「身体感覚優位」の3つに大きく分類されます。
今回はそれぞれ分かりやすく「視覚タイプ」「聴覚タイプ」「体験タイプ」と表記することにします。
それぞれおススメの勉強法は次の通りです。
①視覚タイプ(視覚優位)
見て覚えることが得意なタイプです。「読む」こと「見る」ことをたくさん取り入れましょう。自分でまとめたものを見て勉強するのも効果的です。
②聴覚タイプ(聴覚優位)
耳で聞いて学習するのが得意なので、勉強するときも「聞く」ことを意識しましょう。たとえば、動画や音声の教材などを使うのも効果的です。
③体験タイプ(身体感覚優位)
身体を使って体験的に学ぶことが得意なタイプです。実際に自分で体験してみるという学習を得意としています。じっと座って勉強するよりも、身体を動かしながら勉強すると覚えやすいというタイプです。
それぞれタイプの違う強みがあるので、同じ方法で勉強しても効果が違ってくるのは明らかです。
誰もが持つ得意・不得意はこの性質が大きく関係しているので、お子さんの特性を理解して、特性にあった方法で勉強することが大切です。
勉強方法を考えるとき、お子さんが、どのタイプなのかを知っておくと良いでしょう。
どんなに時間をかけて勉強しても思うような成果が出ないのは、タイプの違いによるものかもしれません。
正解へたどり着く手段には、向き・不向きがあるのです。
特性は、人間に生まれつき備わっている特質ですが、1つが突出しているお子さんもいれば複数の特性を併せ持っているバランス型のタイプのお子さんもいます。
どの特性の傾向が強いか知っているとお子さんが力を発揮しやすい勉強方法が分かるので、強みをいかして勉強に取り組むことができます。
また、お子さんに合わない勉強方法で学習に取り組ませ、次第に自信をなくし勉強に対する意欲を失ってしまうことを防ぐこともできます。
強みを生かすことができれば、少ない労力で成果を上げて自信をつけることにもつながります。
4.勉強法は十人十色! わが家の息子の勉強法を大公開
わが家の息子は、ノートにひたすら繰り返し書いて練習することをやめました。
その代わりに漢字の読みを覚えるときには、リビングをぐるぐると歩き回りながら唱えるように声に出して覚えます。
息子の場合は、漢字の読みに関して、身体を使って声に出して体験的に学ぶ方法が覚えやすいのです。
漢字の書字は、何回も書いて練習するのではなく、まず見て大まかに覚えます。
次に私が作成したテスト形式のプリントに覚えられたかどうか回答を書きます。
そのうち、間違った問題だけよく見て間違い箇所を一緒に確認します。
この時、「どこが違うかわかるかな?」と声かけをして、自分が間違って書いた漢字と正解の漢字を見比べながら、どこを間違ったのか本人にみつけてもらいます。
学習障害の特性を持つ息子は、小さな違いに気が付かず、どうしても違いが分からない場合もあります。
その時は、「ここをみてごらん。一本だけ線が多いよね。」という感じで、具体的に指摘してあげるのです。
そして、正しい漢字の形を頭にインプットしなおしたら、またすぐにプリントに取り組みます。
間違えた漢字の練習を何回も繰り返すことはしません。
この方法を繰り返していくと、さっきのプリントでは正解だったのに、今回は間違えてしまった、というパターンが出てきます。
すると、この漢字を書く時は「へん」に気を付けないと間違えやすいんだ!と自分が本番で間違えやすい箇所やポイントが分かるようになってきます。
そのポイントを頭にインプットし、またプリントに取り組むということを繰り返すのです。
書いて覚えるよりも見て覚える方が負担も少ないことから、息子は書字に関して視覚タイプの勉強法が合っているといえます。
息子の場合は、この方法で6時間かかっていた漢字の勉強が、2時間弱で出来るようになりましたよ。
お子さんの特性を把握し、適した手段を用いて勉強することで効率よく成績UPを目指しましょう!
執筆者:中木村 美紀
(発達科学コミュニケーショントレーナー)